proprller museum
Nakashima Propeller
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はじめに
第1章 動力推進の幕開け
第2章 動力推進器の黎明の時代
第3章 パドルからプロペラへ
第4章 プロペラの化学のはじまり
第5章 近代海運と大戦の時代
第6章 プロペラの性能の時代
第7章 プロペラの機能の時代
参考文献


1900年後半 プロペラの機能の時代
7-1.実用的なプロペラ設計図表が完成
すでに述べたように、理論の発達により、1900年代半ばには揚力線理論などの方法を用いてプロペラを設計することは不可能ではなかった。しかし、普及的な乗物となった船のプロペラを、手計算で微分や積分を繰返しながら設計するという方法はとても実用的とはいえなかった。そこに登場したのが、プロペラ設計図表である。

プロペラ設計図表は、翼数、ピッチ(翼のひねり)、翼面積を系統的に変化させた模型プロペラを多数用意し、その試験結果を網羅的に性能曲線としてまとめあげたものである。このような図表があれば、別に与えられる設計条件は図表のどの位置にあるかを知るだけで、その点における最適のプロペラ要目を簡単に探し出すことができ、便利である。

このような設計図表の考え方は古くからあり、すでに1892年にはフルードによってその原形が示されている。しかし、実用的で性能のよい最初の設計図表となったのは、1951年に発表されたトルースト図表である。トルーストは、ワーゲニンゲンB型と呼ばれる模型プロペラを用い、3翼から5翼の面積比35%から60%におよぶ広範な図表を作った。●図29文献8)はその設計図表で、横軸はエンジンの出力に関する係数、縦軸はプロペラのピッチ比、曲線はプロペラの効率を表し、直線に近い線は、プロペラの回転数、直径、船速を含む係数に相当し、この図表ひとつでプロペラの代表的な幾何形状が求められるようになっている。

この種の設計図表は代表的な造船国で作られ、日本では1955年以降、運輸省の研究所が数種類の設計図表を作成し、現在でも多くのプロペラ設計者に利用されている。
実用的なプロペラ設計図表が完成 プロペラの形状を刷新したハイスキュー・プロペラ
ウォータ・ジェット推進の登場 スキュー・プロペラの普及を促したコンピュータ
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