船舶が経済のなかで重要な地位を占めるようになり、プロペラによる安定した航海が約束された結果、人々の関心は客船に向かうようになった。
1907年、世界最初の近代的客船、ルシタニア号とモレタニア号が大西洋航路に就航したとき、人々はその豪華さに目を見張った。モレタニア号のスケッチ(●図17:文献1)には多数の避難ボートが描かれており、客船として安全性にも充分な配慮がなされていた様子が分かる。
貨物船はこの頃、その基本的な形態をほぼ完成させたといっても過言ではない。●図18(文献1)は1914年に建造された貨物船ウェイトンワース号で、五つの船倉は水密隔壁で区分され、荷役用のクレーンやハッチ、さらには機関配置など、本質的には現在の貨物船とあまり差がないものとなっている。
1914年にはパナマ運河が開通した。これにより世界貿易、特にアメリカの政治経済が受けた影響は計りしれないものがある。アメリカは1950年にパナマ運河会社を設立し、1970年代には毎年1億ドルを超える収益を上げている。