パドル推進船が隆盛を極めた1800年代初頭、プロペラ船が建造されていなかったわけではない。スチブンスの発明はスェーデン生まれの技師エリクソンらに引き継がれ、着々と成果をあげていた。
1830年代の後半、スミスとエリクソンはプロペラ推進船を作り、イギリスで名声を獲得していた。彼らが造船界に与えた影響は大きく、世界初の全鋼船グレート・ブリテン号の設計にあたったブルーネルは、プロペラの高い性能に着目し、パドルからプロペラに設計を変更した。このときのプロペラは6翼で直径が4.7メートルあった。その結果、グレート・ブリテン号は1843年の処女航海でリバプールとニューヨークの間を14日と21時間で航海することができた。