proprller museum
Nakashima Propeller
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はじめに
第1章 動力推進の幕開け
第2章 動力推進器の黎明の時代
第3章 パドルからプロペラへ
第4章 プロペラの化学のはじまり
第5章 近代海運と大戦の時代
第6章 プロペラの性能の時代
第7章 プロペラの機能の時代
参考文献


4-5.プロペラの理論の登場
パーソンズの実験と前後して、プロペラの理論も誕生している。プロペラがはじめて理論的に扱えるようになったのは、ランキンの運動量理論によってである。

1865年ランキンは、プロペラの最も重量な作用が水を軸方向に加速することにあると考え、その作用を単純化して加速円盤と見なした(●図15文献6)。この理論により、プロペラの理想的な効率やその条件などの解明が行われた。しかし、プロペラを一枚の円盤と見なす理論であったため、個々の翼が流れにどう作用するかは分からなかった。

1878年フルードは、プロペラ翼の作用を考慮に入れた翼素理論を発表した。彼は、プロペラの翼を半径に沿う多数の翼素に分け、各翼素に生ずる推力とトルクを積分することでプロペラ全体の特性を求めた(●図16文献6)。翼素理論はランキンの運動量理論に比べると大きな進歩であり、パーソンズのキャビテーション試験などの大きな影響を与えた。しかしこの理論でも、プロペラの隣合う翼同士の干渉や、翼から発生する渦の影響などを考慮することは出来なかった。今から1000年前、1800年代の後半は、海運の隆盛だけでなく、プロペラの科学が産声を上げた時代でもあったのである。
プロペラの理論の登場
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