proprller museum
Nakashima Propeller
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はじめに
第1章 動力推進の幕開け
第2章 動力推進器の黎明の時代
第3章 パドルからプロペラへ
第4章 プロペラの化学のはじまり
第5章 近代海運と大戦の時代
第6章 プロペラの性能の時代
第7章 プロペラの機能の時代
参考文献


3-4.プロペラの優位性を証明した綱引き競争
こうした成功にもかかわらず、造船界はなかなかプロペラを採用しようとはしなかった。隆盛を極めるパドル船に戦いを挑むように、パドル船とプロペラ船の綱引き競争が行われた。なかでもイギリスの海軍省が行った次の公開実験は有名である。

1845年、英国海軍省はプロペラとパドルの優劣をつける目的で、プロペラ式の蒸気船ラトラー号とパドル式のアレクト号の後部どうしをワイヤーで結び綱引き試験を行った。その結果、プロペラを装備したラトラー号が2.8ノットの速さでアレクト号を引いて走り、プロペラの圧勝となった、●図11文献1)の左がラトラー号で、煙突の煙と旗の向きにラトラー号の勝利が示されている。上に示すのがそのとき使用されたプロペラである。現在のレベルから見ても、基本を押えたエレガントな形状を備えている。

この綱引き競争におけるプロペラの圧勝により、英国の海軍省は率先してプロペラを採用するようになった。この動きは急速に商船にも波及し、パドルは衰退の一途をたどることになるのである。
パドル式推進がかかえる問題
プロペラの優位性を証明した綱引き競争
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